食べること

2001/12/5
 私が子供の頃の話をします。物心つくころから母と妹と三人暮らしのなかで、母が絶対的権力をもっていました。逆らっても、母のおかげで生活出来ているので、どうしようもないことでした。

 晩御飯のおかずもどちらかというと、子供向けではなく、魚の煮物とかが多かったように思います。たとえハンバーグでも付け合せの野菜を全部食べないと食べさせてもらえませんでした。
 しかも、今のようにバターとか砂糖で甘くしてあるにんじんとかではなくゆがいて炒めただけの大きなにんじん。もともとにんじんがニガテな私は吐きたくなりましたが、必死に食べたものです。今では健康の為にと気にもなりませんが。
 唯一、誕生日やクリスマスの時だけは、から揚げとかウインナーとか子供の好きそうなものを作ってくれる母でした。料理は得意でしたので、ささっと手早く食卓が豪華に見えたものでした。ふだんがあまりに質素でしたので。
 
 それとピーナッツとコーラは絶対だめでした。ピーナッツは多分母は好きだったのかもしれませんが。当時、ビールのつまみに多く使われてたので、来客があったりするとピーナッツがテーブルに乗ります。沢山あるので必ず残るのですが、「にきびができるから食べたらダメ!」と言われ、コーラも「骨が溶けるからダメ」と言われサイダーぐらいしか飲めませんでした。
 実際、にきびはあちこちできていたので、仕方がないなと思ってたし、コーラもいっぱい飲むと骨が溶けてしまうんだと本気で思っていました。

 食生活で大人になってから気がついたことがありました。母の好みで私や妹が知らなかったことがあります。
 母は生ぐさい物が大嫌いで、食卓に並んだことはないくらいなのですが、私が高校生くらいの時、いとこの家に泊まった日、何気なく「めんたいこ」が出ました。私はびっくりして「えーっ?生で食べるの?めんたいこは焼いて食べるんだよね!」と言ってしまいました。
 しかも私の言うことが正しいかのように。今となっては本当に失礼なことを言ってしまったと反省するとともに、本来の美味しい食べ方を教えてくれなかった母に頭にきました。だって、焼いてもおいしいですが、生のほうがもっとおいしかったんだもの。
 それと大人になるまで、「イカの塩辛」を食べたことがありませんでした。塩分が多いので、沢山食べるのは健康上も良くないのでしょうが、とにかく魚介類はさしみとか以外火を通さないと気が済まない人でした。
 
 これも健太郎が生まれてから母から聞いたのですが、私たちが生まれてからずっと母は「子供の食べ残しを食べたことがない」と
言いました。いくら実の子供であろうと母が終戦後のおさない頃であろうと家族とかの食べ残しでも絶対食べない人だったと思いました。へんなところで潔癖症なのかなと思ってしまった。今もそうなのかは分かりませんが、オカズくらいは孫の残りを食べてたように思います。

 私は思いました。私はこうして食べるのが一番好きだけれども本当はみんなこうして食べるんだよとしっかり子供に教えたいと思います。私みたいに失礼なことを言わないように。そういう親の教えがいかに大事かよくわかりました。
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