これは出水で実際にあった話です。
私の知り合いにヨシコさんという40代の女性がいるのですが、その人が小学生頃の話です。
ヨシコさんの近所にサチコちゃんというお姉さんが住んでいました。
サチコちゃんはお父さんとお兄さんの三人暮らしでした。お母さんは数年前に病死したそうで、ヨシコさんは五歳くらい年上のサチコちゃんと仲良く遊んだりしたそうです。
ところが、サチコちゃんの父親は酒を飲むと暴力をふるい、しかも、食事さえなかなか与えてくれなかったそうで、畑の野菜を食べたり、ヨシコさんのお母さんや近所のおばさんたちからごはんをもらったりして飢えをしのいでたそうです。
父親は、しばらくして家に女の人を連れてきたそうで、再婚したかどうかはわかりませんが、一緒に暮らしたそうです。しかし、相かわらず、父親はその女のひととだけ食事をし、子供たちにはほとんど与えなかったそうです。
ある日、ヨシコさんは、母親と川のほとりを歩いていました。すると母親が
「ヨシコ。川に戸板が流れてるよ。あれ、人がくくりつけられてるよ。」
母親は必死になって、その戸板を川の岸まで引っ張りあげました。
戸板にくくりつけられていたのは、まぎれもなくサチコちゃんでした。サチコちゃんは全裸で大の字にされ、両手両足を板に括り付けられていました。
十五歳の女の子が全裸にされ、辱めをうけていたんじゃないかと思うと、母親もヨシコさんも、必死に戸板からサチコちゃんを離してあげました。
その後、サチコちゃんは中学を卒業すると同時に逃げるように出水から去っていきました。
ヨシコさんは、最近のサチコちゃんの事を風のたよりに聞いたそうですが、数年前、暴力をふるって虐待していた父親が病死したそうです。そのとき、死んだ知らせを聞いたサチコちゃんは、父親の葬儀に帰ってくることはありませんでした。
出水を離れるとき、「絶対出水には帰ってこない」と、親戚に言っていたそうで、サチコちゃんにとっては出水は地獄だったんだと思います。
今は、関西の方で幸せに暮らしているとの事です。
私は、自分の生まれ育った故郷にこういう痛ましい、悲惨な事があったんだと思うととても悲しくなり、もしかしたら、他にも、色んな悲しい事件や、怖いことがあるかもしれません。出水に限らず。
あー怖い。 |